ご挨拶

 北陸信越地区で精密工学会秋季大会が開催されるのは11年ぶりです.コロナ禍になってから3年目を迎えます.ニュースなどを見ていますと,そろそろ対面式で催し物を開催するようになり始めております.このような状況下,実行委員会では対面開催も視野に入れて開催方式の議論を重ねてきましたが,まだ不透明な部分もあり第1日目と第3日目の学術講演会をオンライン方式で,第2日目の贈賞式や特別講演会等を朱鷺メッセで対面開催し,その様子をライブ配信することにしました.

 折角の機会ですので,新潟県の工業の歴史について紹介します.その昔,新潟の三条・燕地域はたび重なる信濃川の氾濫のために米の収穫が少なくなっていました.江戸初期に当時の代官が救済策として江戸から和釘(わくぎ)職人を呼んで,農家の副業として和釘造りを広めました.当時の釘鍛冶職人は1,000人以上にも及び,その製品の大部分が江戸に送られました.特に明暦(1657年)の大火の時は和釘が災害復興に大変役立ったようです.明治初期に「洋釘」が輸入されると和釘製造は衰退していきます.戦後は,金属洋食器や金属ハウスウェアの製造へと業種が変わります.取り扱う材料も,鉄からアルミニウム,ステンレス,チタン,マグネシウム,炭素繊維などその時代の最先端のものに変わっています.現在では冷暖房機,コンプレッサー,工作機械,機械刃物,除雪機,金型製造が盛んになっています.しかし,意外にも和釘の伝統は途絶えていませんでした.「伊勢神宮」の式年遷宮は20年ごとに社殿やご神宝をはじめ全てを新しくします.平成25年にも62回目の式年遷宮が行われました.このとき,和釘の製造・納入が協同組合三条工業会に依頼されました.和釘はここでしか作れなくなっていたのです.

 新潟県の例に見るように,時代と共に製品や製造方法は進化していきます.しかし,コアな技術の重要性は変わらず,これも時代と共に進化していきます.さしずめ今の流行言葉で言えばデジタルトランスフォーメーションを精密工学にどのように融合させていくかということでしょう.

 今秋季大会におきましては,精密工学とその関連分野を含めた活発な議論を展開して頂くことを期待しております.実行委員会一同,皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております.

2022年度秋季大会実行委員会 委員長  新田 勇

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